テープ起こし、反訳には、用途に応じていくつかの起こし方があります。その中で一番ポピュラー、一般的な起こし方は「ケバ取り」といいます。それは、どのような起こし方かといいますと、言い間違いや意味のない言葉を無視して起こすというものです。
「ケバ」というのは、いわゆる不要なもの、捨ててもいいものをイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。
例えば、プラモデルを作るときに、パーツに付いている「バリ」という不要なプラスチック片や、お料理をする時に使う食材の不要部分、皮をむくとかへたを取るような感じでしょうか。
ケバ取りは文字化したときに、読みやすく、ほとんどの業者が他の起こし方に比べてお得な料金設定をしているので、一般的な用途でしたら一番おすすめな起こし方です。ご講演のテープ起こしで、話者様が「えー」や「そのー」とかを連発されていたりすると、それを文字起こした場合、とても読みづらいです。
「素起こし」と「丸起こし」は同じ意味ですが、聞こえたままを可能な限り起こすという起こし方です。これは作業をする者にとっては、少し大変な起こし方です。聞いたまま起こすなら、簡単そうと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、これがなかなか難しいのです。
例えば、プロのアナウンサーがニュースを読み上げるような場合は、確かに難易度は低いのですが、一般の方の場合、話し癖や不明瞭な発音というのがどうしても出てしまうのです。
テープ起こしをすることで、その方のくせやよく使う言葉がわかったりします。無意識に出てしまうんですね。「えー」「おー」「あー」等、発言のあたまに出る言葉や「なんで」「で」「だから」等の接続時に出る言葉など、人によっていろいろですが、これをすべて拾うのですから作業時間にもよりますが、ある程度の根気は必要になります。
会話や会議の場合は、発言のかぶりもあります。この場合、何回聞き直しをしてもどうしても判明しないことも少なくありません。客観的に誰が聞いても聞こえないものは仕方ありませんが、それでもイコライザーや再生速度を変えたりして極力起こせるようにします。