テープ起こしの専門用語について

初めてテープ起こしを業者に依頼する場合、起こし方の種類など普段耳にしたことがない用語の存在に気が付きます。

どんな業界にも専門用語はありますが、テープ起こしにもあらかじめ知っておいた方が良い用語があります。

起こし方の種類

まずテープ起こし業界には、原稿の「起こし方」がいくつかあり、それに応じて出来上がってくる原稿の印象が変わってきます。

ケバ取り

これが一番ポピュラーな起こし方になります。

ケバというのは、イメージとしては、プラモデルのパーツを型枠から外した時に付いている余計なバリの部分や、畳の表面などのささくれのようなものです。

話し言葉の中にある、不要な部分、「えー」や「あのー」、「うーんと」など意味の無いものを起こさない起こし方になります。

そのほかに、言い間違い等もそれに含まれます。それらは、文字に起こしても意味がありませんし、かえって読みにくくなるので起こしません。

そのため、場の雰囲気、臨場感をそのまま残しつつも読みやすい原稿になります。音声の内容がどのようなものかが確認が出来ればいいというのであれば必要十分な起こし方だと思います。

素起こし(丸起こし)

可能な限り聞こえたままの言葉を書き起こすという起こし方になります。

もちろん言い間違い、意味の無い言葉もすべて書き起こしますので、お話しをされる方によりますが、話しグセがあったり、どもったりしたすると、それを文字にすると非常に読みにくい原稿になります。

ではなぜこういった起こし方があるのかというと、会話の分析のためや裁判の証拠資料に使うなど、客観的に発言を確認したいというニーズに適しているためです。

法律事務所や企業の法務部等で当事者の会話の録音等をテープ起こしする場合、ほぼ「素起こし(丸起こし)」でオーダーされているようです。

この起こし方は正確性が求められます。そのため非常に手間がかかるので、テープ起こしをする作業者泣かせの起こし方になります。逐次起こしとも呼ばれます。

整文「である調」「です・ます調」

文体を整えて、語尾を指定する起し方に使われる用語です。

講演や議事録を作成するときに利用される場合が多いです。雑誌や書籍の出版や公式にアーカイブする資料として使われているようです。

話された内容はそのままに要点を簡潔にまとめるので全体を把握して、最終稿に使われるくらいまでのクオリティが要求されます。

文末は「である」や「ですます」に統一しますが、文章全体の流れと分かりやすさを考慮して文体を統一します。

その他

オンラインストレージ

インターネット経由で音声ファイルのアップロードやダウンロードができるサービスです。

音声データや資料データの受け渡しにとても便利で、Eメールへの添付ではデータサイズによっては大きすぎて送信できない場合もあります。

そのような場合に、「Googleドライブ」、「Dropbox」や「firestorage」等、無料のオンラインストレージサービスを利用すればデータの受け渡しもスムーズになります。

記者ハンドブック

テープ起こしする業者は、この本に記載されている表記ルールをもとに原稿を作成します。

このハンドブックは1956年の初版から、現在までに13版が発行されています。

版を重ねるごとにその内容はブラッシュアップ討されていますので、本当に間違えやすい表現だけを集めた用事用語集となっています。

間違えやすい用事用語や慣用句もこれで調べれば正しいものがわかりますし、企業名は、表記と発音が異なるものが結構あります。

例えば、「キューピー」は「キユーピー」、「キャノン」は「キヤノン」と表記します。これらは拗音を大きく書くパターンで、歴史的背景や文字バランスなどが理由のようです。

その他にも「ドンキホーテ」は正しくは「ドン・キホーテ」、「ブルドックソース」は正しくは「ブルドッグソース」など注意しないと間違えてしまいそうな企業名もこれを調べればすぐ正しい表記がわかります。

タイムコード(タイムスタンプ)

経過時間を原稿に表示することです。

通常、テープ起こし業者から納品される文字起こし原稿は、タイムコードが入らない状態で納品されます。

例えば、1分おきとか、3分おきとか任意のインターバルでリクエストが出来ます。単純に冒頭からタイムスタンプを入れるという事以外に、聞き取りができなかった部分にタイムスタンプを入れることも可能です。

聞き取りが出来なかった部分というのは、音声の状態がかなり良くないと、ほぼ発生します。
これを入れてもらうことで、納品された原稿から該当の音声の箇所へアクセスするのが容易になります。

まとめ

テープ起こしに関連する専門用語はまだまだたくさんありますが、その中でもよく使われる用語をいくつか解説してみました。

初めてテープ起こしを業者に依頼される場合は、あらかじめこういった用語の知識を頭に入れておくことで、実際に依頼するときも交渉等が迷わずにスムースに出来ると思います。

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