テープ起こしの著作権について

テープ起こしと著作権の関係については、法律が絡むなかなか難しい問題です。

クライアントからテープ起こしのご依頼を受ける案件の内容はいろんな種類があります。会議、ミーティング、会話、インタビュー、講演、シンポジウム等さまざまです。

ご注意いただきたいのは、講演やセミナー、スピーチなどの音声についても音楽や映画、小説やマンガ、絵画等と同等に著作権が存在するということです。

著作権のおさらい

著作権の定義は「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条1項1号)とされています。

音楽であればCDなどには録音されていないライブ演奏など、形として残らないものも著作物となります。

そのため、講演などの場で「話す」ことによって表現されたものは、「言語の著作物」(著作権法10条1項1号)として著作権法で保護される著作物となります。

このように、講演などが著作物であるという場合は、その講演を行った方が著作者となり、話した内容について原則としてすべての著作権を有することになります。

つまり、その講演を録音したりする場合には、著作者の許諾が必要ということになります。

講演の内容などをテープ起こし、文字起こしする場合も権利者の許諾が必要

講演の内容をテープ起こし、文字起こしするということも、もちろん講演者など権利者の許諾が必要です。

これを無許諾で行う著作権法、複製権の侵害となる場合があります。

例えば企業で外部から講演者を招いて、社内で講演会を行い、本人の承諾を得てそれをテープ起こしして社内報に掲載したりするのは問題ありません。

講演者に無許可で講演を録音して、それをテープ起こしして、無断でブログに載せたりすると著作権に抵触することになります。

弁護士の見解ですが、講演等を録音して、テープ起こしを行い、個人でそれを使用することに関しては問題ありませんが、それを第三者に配布したり、ネットの上げるなどの行為は著作権法に抵触するとの見解でした。

ACNでは、講演等のテープ起こしと二次利用に関しての当事者間の取り決めに関しては一切関与しませんが、講演等を主催される場合はトラブルを防ぐためにも著作権に関する取り決めについて契約を交わされることをお勧めします。

今はSNS等で簡単に情報が伝達できる世の中なので、安易にこのようなことをして発覚した場合、損害賠償を請求されるリスクがあります。

映画やドラマなどの著作物のテープ起こしについても、個人での利用は問題ありませんが、それ以外の利用については著作権の侵害となりますのでご依頼される場合は十分にご注意下さいませ。

まとめ

企業のガバナンスやコンプライアンスの観点からも著作権問題は非常に重要な問題です。

外部からスピーカー等を招聘して講演、セミナー、シンポジウムなどを行い、それをテープ起こしする場合は十分に権利関係を確認した上で行いましょう。

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